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2010年12月12日

「民業圧迫」薬店編⑦

おばあちゃんは色白で80歳とは思えないほど肌艶がよかった。
いわゆる人が良い人で、押しに弱い柔和な方だった。

いかに薬剤師とはいえ、高齢なので細かい話は嫌だろうと思い、ポイントを絞り込んで話すことにした。
優先順位は、おばあちゃに不利益な程度が大きいものからにした
おばあちゃんの隣には、寄り添うようにKさんがいた。


「平成12年に集中している契約ですが、お母さん(おばあちゃん)、これは貯蓄目的って言われたんですか?」
僕が切り出す。


「ええ、銀行の貯金よりいいですよ~って言われたんですよ。」
と、おばあちゃん。


僕は首をかしげながら続けた。
「なるほど、そうでしたか。でも結論から言いますと、すべて元本を割れているんです。」
10本の契約の収支表をお見せしながら、それぞれのマイナス額とマイナス額の合計をお伝えした。


おばあちゃんは顔が曇り、
「どうしてそんなことが起きるんですか? 貯金よりいいって確かに言ってたんですよ。」


「それはですね、すべての契約に本来必要とは思えない特約がついているからです。具体的には死亡保障や入院保障
のことなのですが、この部分は掛け捨てなので全体的にマイナスになるんです。
ところで、この特約はすべての被保険者の方にとって必要ですか?」
実は、被保険者の名前に初めて知るものが名を連ねていたのだ。


「必要かどうかは私には分かりません。みんな遠くに住んでいるので。」
推測通りの返答だった。
僕は、それらの名前の方を一人一人確認していった。


ほとんどが、東京や長崎に住む、子どもや孫の名前だった。
「郵便局の担当の人が、会いにい行ったのですか?」と聞いてみた。


「いえいえ、会わなくていいと言われたので、会っていません。」


「では、少なくとも電話などで、ご本人と契約の確認はとっていますか?」


「いえそしれもしていません。」


「では、署名は誰がしたのですか?」


「私に左手で書いて欲しいと言われたので、そうしました。」


「そうでしたか、数が多いので大変だったでしょうね。 では、印鑑はお母さんが持っておられたのですか?」


「いえ、持ってないと言うと、担当者の人が近くのお店で買ってきました。」


あまり細かく聞くのが気の毒になってきたので、これくらいに留めた。


僕はあまり感情的になるたちではないが、今回ばかりは憤りが湧いてきた。


「無面接」「代筆」「他人名義の印鑑の使用」、すべて保険営業で禁じられていることだが、
保険内容がおばあちゃんに利益をもたらしているなら、まだ納得できる。


おばあちゃんにとって、何の利益も生まないどころか、逆に損失を負わせる契約だったのだ。



その時僕は2つのことを考えていた。

「国民に利益をもたらすための郵便局という国の機関が、国民にこれだけの不利益を負わせていいのか?」

「保険という同じ土俵なのに、郵便局はなぜここまで優位な立場にいられるのか?」



「民業圧迫」どころか、「国民圧迫」そのものだ!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
当時、民間保険会社と郵便局を管轄する国の機関は異なりました。
このことは、この物語の後半に必要になるので、ここで説明しておきます。


民間保険会社は「金融庁(前金融監督庁)」、一方郵便局は「郵政事業庁」でした。
「金融庁」の民間保険会社にたいする規制は、一般の方からすると常軌を逸していると思えるほど厳しく、実際僕も監査を何度か経験しました。


今回の日記で書いた、「無面接」「代筆」「他人名義の印鑑の使用」などは、民間保険会社では今さら説明の余地がないほど基本的なことで、厳罰もありえることから話題としても論外というレベルのことでした。


他には、経済誌(日経新聞、日経マネー、週間ダイヤモンドなど)の携帯禁止。
「他社の誹謗中傷の可能性」や「著作権法に触れる可能性」があるからでした。


「バッグの中に1円たりとも使途不明金があってはならない」「自分で作った資料で会社に許可を得ていない文書の使用禁止」「事実であっても、会社の安定性など他社に比べ自社が優位であることを告げてはならない」など、本来はお客様の利益にあるような情報も伝えられない、いわばがんじがらめの状態に民間保険会社はあるのです。


片や、当時郵便局は違いました。
このような厳しい監査を郵政事業庁はしなかったので、言うなら「自主努力」といった程度でした。


ですから、一個人にとって郵便局は国という幻想的に「安心できる機関」であり、なおかつ民間保険会社では決して許されない行為を平気で行うのですから、民間には太刀打ちできない存在でした。


コンプライアンスなどないに等しい国の機関郵便局が、国民から多くの資産を預かり、その流用のあり方も不透明な構造に僕は不信感を抱き続けていました。


この物語のおばあちゃんのように、国に真面目に税金を納めながら、他方では国から違う形でお金を没収されているに等しい、この構図。


日本は近代国家とはとても呼べない状態なんだと僕はつくづく感じていました。


僕が実際に話を聞くことが出来た「元郵便局員」との会話が、過去ブログにありますので、参考にしてください。

民業圧迫【元郵便局編①】
民業圧迫【元郵便局編②】
  
Posted by 生命保険認定士 at 19:57Comments(0)

2010年12月12日

「民業圧迫」薬店編⑥

次の訪問は、とてもデリケートな内容になるので僕が電話をし、閉店後の午後8時にしていただいた。

「お疲れのところ失礼します。」

「いえいえ、こちらこそ遅くにすみません。」
Kさんは僕より年上で50歳を過ぎていたが、未婚のためなのか少女のような恥じらいを持っていた。

この日から毎回栄養ドリンクをお湯で割ったものを振舞ってくれるようになったのだが、グラスを僕らの前に置く所作にも
控えめな品があった。

すると一羽のスズメが店内を飛び始めた。
僕らは驚いたが、Kさんは驚く様子もないので恐らく飼っているのだろうと思い、

「あの、このスズメはどうされたんですか?」
と問うと、

「一年ほど前、まだ飛べない状態で店の外にいたんですよ。少し面倒をみたら慣れてしまって今はいつも一緒です。」
と嬉しそうに高校生のような表情で話す。

気づかなかったが、おばあちゃんもまだいて「ピーちゃん、いらっしゃい。」と控え室から声がした。

「ピーちゃんって言うんですか? ピーちゃん、こっちにおいで。」
と、西谷。

「ありふれた名前ですけど、飼うなんて思ってなかったもんですから。」
Kさんは、よほどピーちゃんを可愛がっているのだろう、満面の笑みだ。

実際、スズメがこんなに慣れるものだろうかと訝しく思えるほどピーちゃんは人懐っこかった。
ややもすると、僕らの肩にさえとまった。

突然、Kさんの表情が引き締まり、こう切り出した。
「あのですね、契約の中には私がしたものもありますが、ほとんどは母によるものなので今日は同席してもらおうと思います。
お母さん、こっちに来て下さい。」

Kさんがこれらの契約に対しどう思っているのかが、なんとなく読み取れる言葉だった。  
Posted by 生命保険認定士 at 09:21Comments(0)