「嫁のお父さん、取り消し編」⑥

生命保険認定士

2010年12月27日 08:00

先方からの連絡はすぐにあると思っていたが、一週間は経っていた。


義父からの電話が鳴った。
「毎回連絡が遅いもんなあ。さっきかかってきて、早速あさっての午前10時はどうか言うとるが、どうやろか?」


あんまり暇だと思われたくないが、空いていた(笑)。
「急ですね~、でも空いてますよ。ちょっと打ち合わせをしておきたいので、少し早めに行きますね。」


「何回も悪いなあ。こんなことで時間とらせて。」


「何言ってるんですか。僕のほうこそ迷惑ばかりかけてきたので、少しは恩返しさせてください。」


と、かっこいいことを言ったのだが、今回来るのは最高責任者。
僕は以前某外資系保険会社に所属していたので、そこの責任者レベルがどれほど高度な知識を持ち、どれほど頭脳明晰で、なおかつ礼儀を心得ているか知っていた。


そのレベルでも対応できるだろう準備はしていたのだが、やはり不慮のことが起きる可能性は十分にあるので緊張していた。
恐らくカギになるのは、その責任者と担当者が今回の件でどれだけの話し合いと打ち合わせをしているかという点だろう。




その日僕は30分前に嫁の実家に到着し、簡単な打ち合わせをした。

前回と同じく、義父が言いたいことを先に言ってもわうこと。
前回と同じく、僕が録音機を忍ばせていること。
僕の判断で割って入ることなどだ。


10時少し前に先方の担当者から義父母へ電話があった。
車を停める場所がないのでやや遅れるとのこと。


義父母の家は博多駅近く、先方の支社も博多駅近く。
しかも担当者は来訪経験がある。


なぜ遅れるのか見当がつかなかった。
極度の方向音痴なのだろうか(笑)。




玄関チャイムが鳴り、現れたのは僕と歳の近い男性と30歳半ばの担当女性。
女性はかなり緊張しているようだったが、男性は落ち着き払っていた。


受け取った名刺から、男性は福岡支社長、女性は意外にも部長代理とあった。
現在は内勤を担当していることになる。


さて、どんな運びになるのか、好奇心と不安があいまっていた。