「ライフネット生命」出口社長のやりたいこと【1】
出口社長といえば、日本生命入社後、企画部や財務企画部などエリートコースを歩み、バブル全盛期には「ザ・セイホ」の旗頭として生命保険業界の取りまとめ役を務めた人。
当然ながら、日本生命をはじめとした日本社の裏事情に精通しています。
裏事情とは「保険料を定める根拠」「セールスレディを主体とした営業形態にならざるを得ない理由」「その営業形態から脱却できない理由」などです。
当時から出口氏は社内で大胆な改革を試み、「保険の分かりやすさ」や「安価な保険料設定」を提唱していたそうです。
しかし、巨大な組織ですから改革はうまく行かず、結果左遷されることになりました。
折りしも、敏腕岩瀬副社長との出会いもあり、「ライフネット生命」を立ち上げることとなりました。
いろんな意味で、機が熟していたのでしょう。
「ライフネット生命」は「
マニフェスト」を公表しています。
以下、一部抜粋。アンダーラインと色塗りは私。
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・
一人一人のお客さまの、利益と利便性を最優先させる。私たちもお客さまも、同じ生活者であることを忘れない。
・私たちは、
自分たちの友人や家族に自信をもってすすめられる商品しか作らない、売らない。
・すべて、
「納得いくまで」、「腑に落ちるまで」説明できる体制をととのえていく。
わからないことは、いつでも、コンタクトセンターへ。
・生命保険は、リスク管理のための金融商品である。
その内容について、お客さまが冷静に合理的に判断できる情報の提供が不可欠である。
・私たちは生命保険料は、
必要最小限以上、払うべきではないと考える。このため、さまざまな工夫を行う。
・
保障金額を、過剰に高く設定しない。適正な金額とする。したがって、毎月の保険料そのものが割安となる。
・確かな備えを、適正な価格で。私たちの最初の商品は、
シンプルな内容の「単品」のみである。
・生命保険は、住宅の次に高い買物であると言われている。
毎月の少しずつの節約が、長い人生を通してみると大きな差になることを、実証したい。
・
満年齢方式を採用した。誕生日を起点に、一年中いつでも同じ保険料で加入できるように。
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いかがですか?
素晴らしい内容だと思いませんか?
しかし、お気づきの方も多いと思いますが、これらは多くの保険会社が現在も行っていることの裏返しなのです。
出口社長は日本社時代にやれなかったことをやろうとしています。
プロの立場からマニフェストを熟読すると、「素晴らしい指針である」とともに「痛烈な日本社批判」とも受け取れます。
「
保障金額を、過剰に高く設定しない」の部分には感情さえ盛り込まれているような気がします。
この背景を簡単に説明しますと、ほとんどの日本社の販売手数料は「保障金額の高さに販売手数料が正比例」します。
つまり、高額な保障を販売すれば、高額な手数料を販売員は受け取ることになります。
そのため、過剰な保障が設定されているケースをよく見ます。
私が実際に遭遇した例ですが、20歳の独身男性が「8000万円の死亡保障」に加入していたのには驚きました。
過激とも言えるCMをやるからには、それなりの根拠があるはずです。
「特定の商品」に対して明らかに安いという自信がないと、あれほどのCMは流せません。
冒頭で書いたように、私が取り扱っている保険会社の商品が相手ではないことは明らかです。
日本社の商品(パッケージ商品)が相手であることは間違いなさそうです
次のことも裏付け材料になると思います。
パッケージ商品は多くの保障が混合しているため、保険料比較をするのは一般の方にはほぼ不可能です。
しかも、保険料試算をネット上で細部まで行える会社もあれば、出来ない会社もあります。
傾向的に日本社の公開度は低いと言えます。
つまり、パッケージ商品は複雑で分かりにくいことに加え、保険料比較もしづらいのです。
出口社長はここにメスを入れようとしているのでしょう。
敏腕の岩瀬副社長もいることからして、ライフネットが業界最安値ではないという事実は百も承知でしょう。
実際、CMなどで最安値とは言っていません。
最安値ではないがターゲットととする商品に比べると、遥かに安いと言いたいのです。
これは社会貢献という意味では大変大きな意義を持つと思います。
なぜなら、日本人の大半がこのターゲット商品に加入しているからです。
大きく世の中を動かそうとしているのでしょう。
ここには私は大変共感します。
私がブログを書く目的の一つと一致するのです。
誤解していたことをライフネット生命にお詫びし、出口社長、岩瀬副社長、およびスタッフの方々に心からエールを贈ります。
「
保険料試算について」
ただし、あくまでも「ライフネット」が全保険会社の中で、必ずしも一番安いとは限らないことは知っておいてくださいね。