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2011年09月03日

「ライフネット生命」出口社長のやりたいこと【4】

今回はいわば生命保険業界の楽屋裏のことを書いてみようと思います。


よく「生命保険営業はすべての営業の中で最も難しい」と言われます。
「最も」の真偽はともかく、少なくとも「難しい」と言える根拠を説明します。


それは、「保険会社のターゲットは、現在は保険のことを考えていない客層」だからです。
つまり「生命保険に無関心な客層に関心を持ってもらうことが仕事」なのです。


なぜなら、「生命保険に関心のある人」には問題がある傾向が強く、「すでに病気であったり」、最悪「保険金詐欺の可能性」さえあるからです。


一方、「関心のない人」は概して健康で、「いつでも入れるからいいや」くらいに思っています。
あるいは、すでに加入していることが非常に多いのです。
「入れる時にきちんと考えましょう」「見直しませんか?」などと言われても、内心「自分が必要だと思った時に考えるからほっといて!」と思っていることでしょう。


こういう人が保険加入には最も適した人なのですが、アプローチすると関心がないため大変嫌がられます。
嫌がられても「必要性を訴えかける」のが、生命保険営業の宿命なのです。


ここが他の営業と決定的に違うところです。
多くの営業は「欲しい人に売る」のが仕事に対し、保険営業は「欲しくない人に売る」または「すでに加入している人に売る」のが主な仕事なのです。
さらに言うなら、「欲しい人は入れなくて、欲しいと思わない人が入れる」傾向が強いのが生命保険なのです。





では、どうすれば「欲しくない人」「関心がない人」「健康な人」に訴えかけることができるのでしょうか?


そんな妙案があれば私が知りたいですが(笑)、相当センセーショナルなことをやる必要があります。


ライフネット生命がやったのは、一つが「保険の原価の開示」でした。
これはあまりに衝撃的で、業界を含め多くの分野に波紋を呼び起こしました。


もう一つが、最も多くの人が接するテレビ媒体の活用です。
「安いこと」に特化し、誰もがついつい目を向けてしまう衝撃的なCMだと思います。


保険料を半分にするから安心して赤ちゃんを産んでほしいと思って、ライフネット生命を立ち上げました。」と言うライフネット出口社長の思いが、日本中に届くことを切に願います。
出口社長ツイッター


そして、今まで闇に包まれてきた老舗生命保険会社全体の風通しが良くなることを、同時に強く願います。  
Posted by 生命保険認定士 at 17:43Comments(0)

2011年09月01日

「ライフネット生命」出口社長のやりたいこと【3】

私は同じ記事を2つのブログに同時掲載しているのですが、ライフネット出口社長自ら私のブログを読まれていたようです。
アメブロではないもう一つのブログアクセスが今日はやたらと多かったので、アクセス元を調べていたら出口社長のツイートが原因だと分かりました。
https://twitter.com/#!/p_hal/status/109166919977943040


このことに対し私がまず感じたのは、社長本人との関わりがあったという喜びと驚きよりもむしろ、出口社長のバイタリティと熱意です。
なぜなら、無名に近い私のブログをたまたま見つけたにせよ、目を通し間髪を入れずツイートする姿勢、しかも大切な仕事前のツイートだったようです。


その熱意と行動には心から敬意を表します。


日本の生命保険業界のあり方を変えなければならないと意気込む全国津々浦々の営業マンは、私を含め是非見習わなければならないと痛感しました。


極々当たり前のことですが、営業は言葉だけでなく「行動」ですね!


ありがとうございました。

  
Posted by 生命保険認定士 at 21:14Comments(0)

2011年09月01日

「ライフネット生命」出口社長のやりたいこと【2】

「ライフネット生命」出口社長のやりたいこと【1】


出口社長といえば、日本生命入社後、企画部や財務企画部などエリートコースを歩み、バブル全盛期には「ザ・セイホ」の旗頭として生命保険業界の取りまとめ役を務めた人。

当然ながら、日本生命をはじめとした日本社の裏事情に精通しています。
裏事情とは「保険料を定める根拠」「セールスレディを主体とした営業形態にならざるを得ない理由」「その営業形態から脱却できない理由」などです。

当時から出口氏は社内で大胆な改革を試み、「保険の分かりやすさ」や「安価な保険料設定」を提唱していたそうです。
しかし、巨大な組織ですから改革はうまく行かず、結果左遷されることになりました。

折りしも、敏腕岩瀬副社長との出会いもあり、「ライフネット生命」を立ち上げることとなりました。
いろんな意味で、機が熟していたのでしょう。



「ライフネット生命」は「マニフェスト」を公表しています。
以下、一部抜粋。アンダーラインと色塗りは私。

ー・-・-・-・-
一人一人のお客さまの、利益と利便性を最優先させる。私たちもお客さまも、同じ生活者であることを忘れない。

・私たちは、自分たちの友人や家族に自信をもってすすめられる商品しか作らない、売らない

・すべて、「納得いくまで」、「腑に落ちるまで」説明できる体制をととのえていく
わからないことは、いつでも、コンタクトセンターへ。

・生命保険は、リスク管理のための金融商品である。その内容について、お客さまが冷静に合理的に判断できる情報の提供が不可欠である

・私たちは生命保険料は、必要最小限以上、払うべきではないと考える。このため、さまざまな工夫を行う。

保障金額を、過剰に高く設定しない。適正な金額とする。したがって、毎月の保険料そのものが割安となる。

・確かな備えを、適正な価格で。私たちの最初の商品は、シンプルな内容の「単品」のみである。

・生命保険は、住宅の次に高い買物であると言われている。毎月の少しずつの節約が、長い人生を通してみると大きな差になることを、実証したい

満年齢方式を採用した。誕生日を起点に、一年中いつでも同じ保険料で加入できるように。
ー・-・-・-・-


いかがですか?
素晴らしい内容だと思いませんか?


しかし、お気づきの方も多いと思いますが、これらは多くの保険会社が現在も行っていることの裏返しなのです。
出口社長は日本社時代にやれなかったことをやろうとしています。



プロの立場からマニフェストを熟読すると、「素晴らしい指針である」とともに「痛烈な日本社批判」とも受け取れます。
保障金額を、過剰に高く設定しない」の部分には感情さえ盛り込まれているような気がします。


この背景を簡単に説明しますと、ほとんどの日本社の販売手数料は「保障金額の高さに販売手数料が正比例」します。
つまり、高額な保障を販売すれば、高額な手数料を販売員は受け取ることになります。


そのため、過剰な保障が設定されているケースをよく見ます。
私が実際に遭遇した例ですが、20歳の独身男性が「8000万円の死亡保障」に加入していたのには驚きました。




過激とも言えるCMをやるからには、それなりの根拠があるはずです。
「特定の商品」に対して明らかに安いという自信がないと、あれほどのCMは流せません。


冒頭で書いたように、私が取り扱っている保険会社の商品が相手ではないことは明らかです。
日本社の商品(パッケージ商品)が相手であることは間違いなさそうです


次のことも裏付け材料になると思います。
パッケージ商品は多くの保障が混合しているため、保険料比較をするのは一般の方にはほぼ不可能です。


しかも、保険料試算をネット上で細部まで行える会社もあれば、出来ない会社もあります。
傾向的に日本社の公開度は低いと言えます。


つまり、パッケージ商品は複雑で分かりにくいことに加え、保険料比較もしづらいのです。
出口社長はここにメスを入れようとしているのでしょう。


敏腕の岩瀬副社長もいることからして、ライフネットが業界最安値ではないという事実は百も承知でしょう。
実際、CMなどで最安値とは言っていません。


最安値ではないがターゲットととする商品に比べると、遥かに安いと言いたいのです。
これは社会貢献という意味では大変大きな意義を持つと思います。


なぜなら、日本人の大半がこのターゲット商品に加入しているからです。
大きく世の中を動かそうとしているのでしょう。


ここには私は大変共感します。
私がブログを書く目的の一つと一致するのです。



誤解していたことをライフネット生命にお詫びし、出口社長、岩瀬副社長、およびスタッフの方々に心からエールを贈ります。
保険料試算について

ただし、あくまでも「ライフネット」が全保険会社の中で、必ずしも一番安いとは限らないことは知っておいてくださいね。  
Posted by 生命保険認定士 at 07:56Comments(0)